# AVR マイコンを使ったキーボード このページでは QMK における AVR マイコンのサポートについて説明します。AVR マイコンには、Atmel 社製の atmega32u4、atmega32u2、at90usb1286 やその他のマイコンを含みます。AVR マイコンは、簡単に動かせるよう設計された8ビットの MCU です。キーボードでよく使用される AVR マイコンには USB 機能や大きなキーボードマトリックスのためのたくさんの GPIO を搭載しています。これらは、現在、キーボードで使われる最も一般的な MCU です。 まだ読んでない場合は、[キーボードガイドライン](ja/hardware_keyboard_guidelines.md) を読んで、キーボードを QMK にどのように適合させるかを把握する必要があります。 ## AVR を使用したキーボードを QMK に追加する QMK には AVR を使ったキーボードでの作業を簡略化するための機能が多数あります。大体のキーボードでは1行もコードを書く必要がありません。まずはじめに、`util/new_keyboard.sh` スクリプトを実行します。 ``` $ ./util/new_keyboard.sh Generating a new QMK keyboard directory Keyboard Name: mycoolkb Keyboard Type [avr]: Your Name [John Smith]: Copying base template files... done Copying avr template files... done Renaming keyboard files... done Replacing %KEYBOARD% with mycoolkb... done Replacing %YOUR_NAME% with John Smith... done Created a new keyboard called mycoolkb. To start working on things, cd into keyboards/mycoolkb, or open the directory in your favourite text editor. ``` これにより、新しいキーボードをサポートするために必要なすべてのファイルが作成され、デフォルト値で設定が入力されます。あとはあなたのキーボード用にカスタマイズするだけです。 ## `readme.md` このファイルではキーボードに関する説明を記述します。[キーボード Readme テンプレート](ja/documentation_templates.md#keyboard-readmemd-template)に従って `readme.md` を記入して下さい。`readme.md` の上部に画像を配置することをお勧めします。画像は [Imgur](http://imgur.com) のような外部サービスを利用してください。 ## `.c` このファイルではキーボード上で実行される全てのカスタマイズされたロジックを記述します。多くのキーボードの場合、何も書く必要はありません。 [機能のカスタマイズ](ja/custom_quantum_functions.md)で、カスタマイズされたロジックの記述方法を詳しく学ぶことが出来ます。 ## `.h` このファイルでは、[レイアウト](ja/feature_layouts.md)を定義します。最低限、以下のような `#define LAYOUT` を記述する必要があります。 ```c #define LAYOUT( \ k00, k01, k02, \ k10, k11 \ ) { \ { k00, k01, k02 }, \ { k10, KC_NO, k11 }, \ } ``` `LAYOUT` マクロの前半部ではキーの物理的な配置を定義します。後半部ではスイッチが接続されるマトリックスを定義します。これによってマトリックス配線の順とは異なるキーを物理的に配置できます。 それぞれの `k__` 変数はユニークでなければいけません。通常は `k` というフォーマットに従って記述されます。 物理マトリックス(後半部)では、`MATRIX_ROWS` に等しい行数が必要であり、各行には正確に `MATRIX_COLS` と等しい数の要素が含まれていなければいけません。物理キーが存在しない場合は、`KC_NO` を使用して空白を埋める事ができます。 ## `config.h` `config.h` ファイルには、ハードウェアや機能の設定を記述します。このファイルで設定できるオプションは列挙しきれないほどたくさんあります。利用できるオプションの概要は[設定オプション](ja/config_options.md)を参照して下さい。 ### ハードウェアの設定 `config.h` の先頭には USB に関する設定があります。これらはキーボードが OS からどのように見えるかを制御しています。変更する理由がない場合は、`VENDOR_ID` を `0xFEED` のままにしておく必要があります。`PRODUCT_ID` にはまだ使用されていない番号を選ばなければいけません。 `MANUFACTURER`、 `PRODUCT`、 `DESCRIPTION` をキーボードにあった設定に変更します。 ```c #define VENDOR_ID 0xFEED #define PRODUCT_ID 0x6060 #define DEVICE_VER 0x0001 #define MANUFACTURER You #define PRODUCT my_awesome_keyboard #define DESCRIPTION A custom keyboard ``` ?> Windows や macOS では、`MANUFACTURER` と `PRODUCT` が USBデバイスのリストに表示されます。Linux 上の `lsusb` では、代わりにデフォルトで [USB ID Repository](http://www.linux-usb.org/usb-ids.html) によって維持されているリストからこれらを取得します。`lsusb -v` を使用するとデバイスから示された値を表示します。また、接続したときのカーネルログにも表示されます。 ### キーボードマトリックスの設定 `config.h` ファイルの次のセクションではキーボードのマトリックスを扱います。最初に設定するのはマトリックスのサイズです。これは通常、常にではありませんが、物理キー配置と同じ数の行・列になります。 ```c #define MATRIX_ROWS 2 #define MATRIX_COLS 3 ``` マトリックスのサイズを定義したら、MCU のどのピンを行と列に接続するかを定義します。そのためにはピンの名前を指定するだけです。 ```c #define MATRIX_ROW_PINS { D0, D5 } #define MATRIX_COL_PINS { F1, F0, B0 } #define UNUSED_PINS ``` `MATRIX_ROW_PINS` の要素の数は `MATRIX_ROWS` に定義した数と同じでなければいけません。同様に `MATRIX_COL_PINS` の要素の数も `MATRIX_COLS` と等しい必要があります。`UNUSED_PINS` は定義しなくても問題ありませんがどのピンが空いているのか記録しておきたい場合は定義できます。 最後にダイオードの方向を定義します。これには `COL2ROW` か `ROW2COL` を設定します。 ```c #define DIODE_DIRECTION COL2ROW ``` #### ダイレクトピンマトリックス 各スイッチが、列と行のピンを共有する代わりに、それぞれ個別のピンとグランドに接続されているキーボードを定義するには、`DIRECT_PINS` を使用します。マッピング定義では、列と行の各スイッチのピンを左から右の順に定義します。`MATRIX_ROWS` と `MATRIX_COLS` 内のサイズに準拠する必要があり、空白を埋めるには `NO_PIN` を使用します。これによって `DIODE_DIRECTION`、`MATRIX_ROW_PINS`、`MATRIX_COL_PINS` の動作を上書きします。 ```c // #define MATRIX_ROW_PINS { D0, D5 } // #define MATRIX_COL_PINS { F1, F0, B0 } #define DIRECT_PINS { \ { F1, E6, B0, B2, B3 }, \ { F5, F0, B1, B7, D2 }, \ { F6, F7, C7, D5, D3 }, \ { B5, C6, B6, NO_PIN, NO_PIN } \ } #define UNUSED_PINS /* COL2ROW, ROW2COL */ //#define DIODE_DIRECTION ``` ### バックライトの設定 QMK では GPIO ピンでのバックライト制御をサポートしています。これらの設定を選択して MCU から制御できます。詳しくは[バックライト](ja/feature_backlight.md)を参照して下さい。 ```c #define BACKLIGHT_PIN B7 #define BACKLIGHT_LEVELS 3 #define BACKLIGHT_BREATHING #define BREATHING_PERIOD 6 ``` ### その他の設定オプション `config.h` で設定・調整できる機能はたくさんあります。詳しくは[設定オプション](ja/config_options.md)を参照して下さい。 ## `rules.mk` `rules.mk` ファイルを使用して、ビルドするファイルや有効にする機能をQMKへ指示します。atmega32u4 を使っている場合、これらのオプションはデフォルトのままにしておくことが出来ます。他の MCU を使用している場合はいくつかのパラメータを調整する必要があります。 ### MCU オプション このオプションではビルドする CPU をビルドシステムに指示します。これらの設定を変更する場合は非常に注意して下さい。キーボードを操作不能にしてしまう可能性があります。 ```make MCU = atmega32u4 F_CPU = 16000000 ARCH = AVR8 F_USB = $(F_CPU) OPT_DEFS += -DINTERRUPT_CONTROL_ENDPOINT ``` ### ブートローダー ブートローダーは MCU に保存されているプログラムをアップグレードするための特別なセクションです。キーボードのレスキューパーティションのようなものだと考えて下さい。 #### Teensy Bootloader の例 ```make BOOTLOADER = halfkay ``` #### Atmel DFU Loader の例 ```make BOOTLOADER = atmel-dfu ``` #### Pro Micro Bootloader の例 ```make BOOTLOADER = caterina ``` ### ビルドオプション `rules.mk` にはオン・オフできるたくさんの機能があります。詳細なリストと説明は[設定オプション](ja/config_options.md#feature-options)を参照して下さい。 href='#n184'>184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458